エコマンションの建設日記「第2章−10.やってやろうじゃないの!-資金計画ですA-」
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マンション建設日記  
━━━(第1章)━━━
1. はじまりのはじまりは出産
2. 不思議な体験
3. 息子の心臓に穴
4. -倒産・再建・そして-
5. 妹の死と廃業
6. 不動産業についての持論と設計の基本
 
7. 二人の助産婦さんと一冊の本との出会い
 
━━━(第2章)━━━
1. 私がシックハウス症候群?
2. 誰に相談するのか?
3. 誰に相談するのか?
-設計士編-
 
4. 設計士さんへの意思の伝え方と契約のポイント
 
5. 建築を知らなくてもできる平面プランの作り方
 
6. むっずかしい〜自宅プラン
7. えっ?好みが違う?
なるほど・・・
 
8. 夫婦で二人三脚
9. 資金計画です。-@
10. やってやろうじゃないの!
-資金計画ですA-
 
━━━(第3章)━━━
1. 遅かった・・・あと1日
2. 何を聞いていたの?
3. 1本の電話から
4. 1億円オーバー
5. 潔く
6. 沈黙のとき
7. 願いのとき
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第2章−10.やってやろうじゃないの!-資金計画ですA-
さて、では実際に私の場合どうだったかというと…
私の場合は事業用ですから住宅の場合とは多少の違いはあると思いますが、参考にしていただければ…

 C1−第4回からお話してきましたように、土地については旧卸問屋の跡地がありました。
ですから、建物の建築費用を中心に考えればよかったわけです。

 設計事務所には、もともとこちらの予算を伝え考慮していただき、土地の条件(つまり立地条件)と合わせて基本プランを作成して頂いていました。それは前回お話した本体工事価格、つまり建設するだけの費用ですから、それにもろもろの諸経費をプラスして本格的な予算を立てました。

 もちろん土地と建設する建物を担保にして、どこかの金融機関から借り入れをしなければならないわけですが、私は迷わず『住宅金融公庫』を選びました。
 一生懸命働いては税金を納めてきたわけですから、こんな時に利用させてもらわなくちゃ!という思いもありましたし、なんといっても低金利時代。固定融資で長期の事業プランも立てやすいというのが一番の魅力でした。

 今まで父の時代には、民間金融機関からしか融資を受けてこなかったので、会社としては初めての経験でした。たまたま私の場合は、宅建の仕事上『住金』には馴染みがありましたのであまり抵抗はありませんでした。
 ただし、『住金』の場合、手続きがたいへんではあります。つまりさまざまな提出書類作成です。住宅のみの場合はそうでもありませんが、私の場合、ひとつの建物の中に事務所・賃貸住宅部分・そして自宅という三つの異なる種類のものを併用して建てようとしていましたから…。
 また一般住宅の場合の融資窓口は、取り扱っている民間金融機関の窓口でいいのでわりと気軽に相談に行けますが、事業用の場合は、直接『住金』の窓口に出向かなければなりません。はっきりいって、民間金融機関の窓口に比べ、アポイントなしには相談にいけませんし、つまり予約制みたいなものですから、窓口にはお客さんも少なくシーンとした雰囲気。なにか張り詰めたような感じで緊張します。

 当時、申し込みの書類提出が一ヶ月遅れると、金利が0.1上がっていくような時期でしたから、根を詰めてがんばりました。
 経験のある方はご存知ですが、普通、ハウスメーカーなどで住宅を建てたり、あるいは設計事務所に依頼して住宅を建てる場合でも、諸書類作成は、そのハウスメーカーや設計事務所が代行して行ってくれることが多いのですが、たまたま私の場合は、設計事務所の担当の方が『住金』の手続きは初めてで慣れていらっしゃいませんでしたので、図面やそれに基づく計算式以外については全て私のほうでやりました。

 もちろん申し込んだらそれで終わりではありませんから、それからいくつかの審査を受けたり、変更があるたびに書類を提出したり、『住金』のマニュアルに則ってまた書類を作成、提出。…そしてやっと実際に融資を受け、またその後処理まで約2年間。振り返ってみても「よくやったなあ」と、我がことながら誉めてやりたいほどです。

 もうひとつ、今までは、ずっと会社の代表者(顔)である父の名前で取引きをしてきました。もちろん金融機関との取引きもです。私は、実際の仕事はもうこなしていたとは言え、あくまでも父があっての自分でした。
 ですが、さすがに今回の30年以上の長期にわたる金融機関との取引には、父だけの名前では年齢という壁があり、(また実際、父はもうパーキンソン病で、闘病生活にはいっていましたし)後継者つまり私の名前なしではその取引は成立しませんでした。

 父の年齢と病状を考慮したとき、これはまさしく私が背負う借り入れです。事業家の娘として生まれ、それを運命と受けとめてはいても、37歳にして億単位の借り入れをするのには、相当の覚悟がいりました。いくら返済のめどが十分にたつ借金だとしても…です。
 当然、次世代(息子たち)へのことも視野に入れて…「絶対に無責任なことはできない」と…。

 代々受け継がれてきた事業…従業員と家族のため、きっと先代も先々代も同じような岐路に立っては悩み、乗り越え、そしてまたたくさんの壁を乗り越えて、私たち(次世代)に受け継がれることを夢見ては頑張ってきたのでしょう。

 自分で仕事を、事業をすればするほど、その難しさがわかり、大変さを経験するほど、先代たちの思いが伝わってきます。

そしてあらためて考えました。

 ―私はここに生まれ、不自由のない生活をさせてもらい、大学まで出してもらった。
その上で私は、両親の大反対を押し切って結婚し、出産や子育てを経験するという
女としての歴史も歩んでいる。
そして今、父(先代)は難病におかされ、人生の終盤を迎えている―
この現実から目を背けるわけにも、逃げるわけにもいきません。

いろんな「運命の悪戯」があったとはいえ、今現在この事業の後継者は私以外にはいないのです…から。

 やってやろうじゃないの!それが私の結論です。
そのかわり、「石橋を叩いては渡ってきた先代」に、十分安心してもらえる事業計画であって、そして、次世代に胸を張ってわたせる事業内容にしなきゃ…そして少しでも世の中のためになるような仕事をしたい。そのためには「本物を目指す」…それが私の最大の責任なのです。

 逃げない。与えられた私の運命から…どんなに苦境に立ってもその中で最善を尽くす。
たとえどんな挫折を経験しても、打ちのめされても…枯れるほど涙を流したら、両手両足で踏ん張って顔をあげ、もう一度胸を張れば、その行く手にはかならず一筋の光が差し、これから歩む道を照らしてくれます。何度でも何度でも…あきらめない。七転び八起きです。

 まだまだたくさんの未熟者の私…挫折もつきものです。ですがなによりも、私は人の親なのだから…この世に命を誕生させた母親なのだから…その母親としての強さと、女性としての感性を大切にして生きていきたい。

 そして事業家の娘として生まれ、育ててもらったことへの感謝の気持ちを持ち…自分の信じる道を、もう一度歩む決意を…したのでした。

 

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