エコマンションの建設日記「第2章−6.むっずかしい〜自宅プラン」
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マンション建設日記  
━━━(第1章)━━━
1. はじまりのはじまりは出産
2. 不思議な体験
3. 息子の心臓に穴
4. -倒産・再建・そして-
5. 妹の死と廃業
6. 不動産業についての持論と設計の基本
 
7. 二人の助産婦さんと一冊の本との出会い
 
━━━(第2章)━━━
1. 私がシックハウス症候群?
2. 誰に相談するのか?
3. 誰に相談するのか?
-設計士編-
 
4. 設計士さんへの意思の伝え方と契約のポイント
 
5. 建築を知らなくてもできる平面プランの作り方
 
6. むっずかしい〜自宅プラン
7. えっ?好みが違う?
なるほど・・・
 
8. 夫婦で二人三脚
9. 資金計画です。-@
10. やってやろうじゃないの!
-資金計画ですA-
 
━━━(第3章)━━━
1. 遅かった・・・あと1日
2. 何を聞いていたの?
3. 1本の電話から
4. 1億円オーバー
5. 潔く
6. 沈黙のとき
7. 願いのとき
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第2章−6.むっずかしい〜自宅プラン
皆さんはCADというものをご存知でしょうか?
今でこそ、設計事務所で図面を手書きで書くことなどほとんどありませんよね。かつては、図面の線1本1本を手書きで引いていたわけです。それにかわって登場してきたのがCADなのです。つまり、手書きのかわりに登場してきたコンピュータというわけです。
 私も平成5年(1993)年当時、インテリアコーディネーターの勉強と並行して、このCADを習った時期がありました。「コンピュータだから そんなに難しくないだろう」と始めたのですが、とんでもない!コンピュータの基礎知識は当然いりますし、いろいろな形を組み合わせて描く図面ですからクリエイティブな作業です。誰でもできるというものではありませんでした。トホホ…

 私が設計を依頼していた当時(1999年)は、もう、もちろん「図面はCAD」があたり前の時代でした。始め、若い女性のCさんがこの設計の打ち合わせにいっしょに来られるのは勉強のためなのだろうと思っていたのですが、だんだん話を聞いていると どうも違う。実はこのCさんがまさしくうちの図面を書いてくれている張本人!だったということでした。
 当時のA事務所といえば、かなり大きなお仕事もいくつもこなしておられました。そのほとんどを このCさんのような若い人たちがCADを使って描いているとのこと。なにかあっけにとられてしまいました。時代は変わったなぁーといった感じがしました。それでは実際図面を描いてくれている本人なのですから、私からすれば打ち合わせに来られるのは当然です。やっと固まった賃貸プランにつづいて、10Fの事務所と自宅について入念に打ち合わせを始めました。

 当時、私は主人、3歳の息子、60代の私の両親と5人暮らしでした。とはいっても、私の父は「パーキンソン病」を患っており、とくに平成9(1997)年の暮れからは入退院を繰り返していました。ちょうど平面プランを固めていたこの時期は、父の病がとても早く進行していた頃でした。
 「今は人の手を借りて歩けるけれど、この建物ができあがる2年後には ひょっとしたら寝たきりになってるかもしれない」「うちで介護をできるかどうかも難しいかもしれない…」そんな未知の部分を抱えていました。

 寝たきり…「はじまりのはじまりは出産」でお話したとおり、私も 数ヶ月ではありましたが、その経験があります。ベッドの上で寝たままの姿勢…普通の人の上下感覚が90度反転した世界です。見える物は天井と壁と、わずかな窓からの景色だけなのです。
 しかも狭い部屋に閉じ込められていると「狭所恐怖症」になってきます。狭いところにいることそのものが恐いのです。自分で思うとおりに行動がとれないことの不自由さは、やはり経験してみないとわかりません。

 唯一、そんな寝たきりの時の安らぎは、ポカポカした陽のあたたかさと家族の生活の気配だと思います。台所で炊いているご飯の湯気だったり、焼き魚のにおいだったり。
「あっ、玄関で音がした。今、孫が幼稚園から帰ってきたな」とか、すると「おじいちゃん、ただいまー」と孫がやってくる、…といった具合の生活の気配です。
 それが少なからず感じられると、たとえ寝たきりであっても、自分も家族の一員なのだという一つの安心感のようなものが生れると思います。

 ですから私は、父の部屋が陽あたりのあまりよくない北東側にあるプランを嫌いました。介護の必要な父の部屋は、やはり南向きで、しかも家族の気配が感じられるところに置きたい。しかし、介護のため、家族以外の人がすでに自宅に出入りしていた当時、介護を手伝っていただくのはありがたいのですが、他の家族のプライバシーという点を考えると、父の部屋には玄関からスムーズにアプローチできて、しかもプライバシーを守りたい時には、オープンなスペースを何かによって分けることも必要だと思いました。
 私の理想として、一番主婦がいる時間の長い台所にいて父も含めた家族の気配が感じられる間取りにしたいと思いました。
 面積の都合上 10Fだけでは、子供や私達の部屋はどうしてもとれない。そこで 内階段でつなぐ、つまり10Fに2階建をつくるような感じになりました。
 だったら、台所からも2階の気配が感じられるように吹き抜けにしたい。子どもは玄関からすーっと自分の部屋に行けるのではなく、必ず家族のいるLDKを通って自分の部屋に行くように階段の位置を決めたい。そうやって、オープンなスペースを大事に考えていると、どうしても壁が少なくなります。壁が少ないということは、父の歩行に大切な手すりがあまりつけられなくなるわけですつききりで介護をしている母の動線(夜間を含めて)も大事なポイントでした。

 子供はまだ3才でしたから、お風呂の近くにトイレがあるとおもらししにくく、やっぱり便利です!父の部屋の近くにもいるし、父はどうしても排泄に時間がかかります。介護の方も含めた来客のことなど考えるとトイレは2ヶ所必要だな…。そして賃貸プランでもこだわったように、トイレ・洗面・お風呂など 湿気の多いところには、ぜひ窓をつけたい
 仕事から疲れて帰ってくる主人のやすらぐ場づくりも!子供が大きくなるにつれ荷物は増えます。収納も大事なポイント。そして何より"通気"の重要性。窓や扉などの開口部を開け放った時 また閉めた時、いかに風が通る 空気が流れる間取りにするか…。そんな1つ1つを設計士さんたちにしっかりと伝えながら自宅プランをつめていきます。
 基本的な部分として家相も頭に入れていました。全てプランを拘束されるほど気にはしていませんでしたが、ある程度人がやめといた方がいいということを、あえてやる必要はないのかなという感じはしていましたから…。

 今の家族の状況、2年後実際建ち上がる頃の予想される状況、子供はいつか成長し巣立っていくものです。夫婦2人にいずれなるかもしれない。そんなライフスタイルの変化を考慮しながら どんな生活をしたいのか、この場でどんなくつろぎややすらぎを得たいのか…そんなことを口頭で設計士さんたちに伝えるのは、とても難しい作業です。でも あきらめずに一生懸命続けました。
 設計士さんたちもそれに答えようと、いくつかのプランを修正してはもってきて下さいました。でも残念ながら、なかなか納得いきません。私はとうとう 失礼かなと思いながらも、たくさん買い込んでいた住宅雑誌の気に入った部分をお見せしました。こんな感じ、こんな感じ…。

 何度めかの打ち合わせをしていくうち、じつは…と設計士さんがおっしゃいます。
「鉄筋コンクリートのビルなので、消防法の関係で吹き抜けはできません!
また玄関の扉は、今の自宅のように和風の木の引き戸にしたいという希望にも
「これも消防法の関係でできません」
そして、リビングの中に設けようとした内階段にも
「病院やビルの階段と同じように 階段は階段として箱のようにかこって、もし火事の時は大きな階段の扉をしめて 煙や火がシャットアウトできるように作らなければいけません」
など、今さらといった具合に法令上の制限を言いはじめられました。
 自宅への夢が、1つ1つ壊されていきました。

 なかなか納得がいかない状況をさっして、設計士さんたちは同じ事務所の30才前後の女性のインテリアコーディネーターを 私に紹介され、設計の打ち合わせにつれていらっしゃるようになりました。
 さあ、このインテリアコーディネーターさんが救世主になってくださるのでしょうか?
 

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